もんしーファーム代表の津田です。果樹にとって収穫は1年にほぼ1回しかありませんので、収穫量と販売単価が売上に大きく影響します。
例えば、みかんを100円の価格で10t売った場合。400円の価格で2.5t売った場合。どちらも同じ100万円の売上になります。
価格設定は大事と言われますが、栗の園主さんも最初の頃は販売に関してかなり苦心をされておりました。大きな転機になったきっかけは、栗を卸す予定だった和菓子屋さんからの勧めで焼き栗の作り方を教えてもらったことでした。もともと栗だけの販売では商売が成り立たなかった所を、加工品にすることで付加価値のある商品にできたそうです。
そしてもう一つのきっかけが新参者の出店が難しいとされる※輪島の朝市に出店できたことです。いくら良い商品が出来ても販路がないと売上に繋がらないため、販売できる場所を確保できたことが大きかったそうです。また朝市では消費者から感想を直接聞けるので、商品のブラッシュアップにつなげることができます。
こちらの栗園さんの焼き栗は1000円/150gとかなり高価格の設定をしていますが、朝市で行列ができるほど売れていきます。これがもしJAに卸した場合では、400円/1kgになるため約6倍の価格差となります。
商品の価値は自分たちが決めるというよりもお客様が決めるものだと考えますと、生産者目線からお客様目線へと変わります。市場全体の目線が見える所までくると自分たちの立ち位置が分かるようになるかもしれません。
もちろんお客様が納得いくものが求められますので、例えば栗園さんの焼き栗では、素材本来の甘みだけで糖度30の焼き栗は他では手に入らないものになっています。値段が安ければ安い方を買うことはありますが、値段が高くても買ってもらえるように商品の価値を提案していくことが農業にも必要なのではないかと思います。
※現在は予約注文が多数のため、輪島の朝市に出店できていないようです。
2017年、30歳の夏に転職をすると決めてから、2022年に認定新規就農者になるまで。~395日目~。